幅広い知識と総合力が求められる 建設コンサルタントへの転職とキャリアアップについて詳しくご説明します
みなさんは建設コンサルタント業界についてどの程度ご存知でしょうか。
土木建築業界で働かれている方の中には、建設コンサルタントの概要しか知らない方や、転職先として見ている方など、人によって理解は様々かと思います。
この記事では、建設コンサルタント業界でのキャリアアップや、建設コンサルタント業界へ転職するためのポイントについて詳しくご説明します。
建設コンサルタントの概要について知りたい方は、まずは「土木建設の専門家 建設コンサルタント業界についてご紹介します」の記事を参考にしてみてください。
建設コンサルタントの概要
建設コンサルタントは、主に土木系の建設プロジェクトにおいて専門的な助言やサポートを提供する専門家です。
助言やサポートをすることが役割であるため、実際に現場で建設工事をするわけではなく、建設工事の前段階である企画、調査、設計、施工管理、維持管理などを発注者に代わって行う「発注者支援業務」が主な役割となります。
土木工学、建築、都市計画などの知識と経験を駆使して、発注者に対して最適な提案をし、プロジェクトが円滑に進行するよう尽力します。
土木工事では、道路や橋梁などの社会インフラの工事が主に行われるため、建設コンサルタントの主要な顧客は国土交通省、地方自治体、公共事業体などの公的機関になります。
建設コンサルタントで求められるスキル・能力
建設コンサルタントは、企画、調査、設計、施工管理、維持管理と多くの工程を担当するため、様々な能力を持つゼネラリストであることが求められます。その中でも特に重要となるスキル・能力をご紹介します。
コミュニケーション能力
建設コンサルタントは技術的な知識だけでなく、コミュニケーション能力が非常に重要視されます。
発注主に技術的な知識があるとは限らないため、建設コンサルタントがヒアリングを行い、発注者の意向に沿った計画を立てる必要があります。
また、主要な顧客が地方自治体などの公的機関であるため、対象の地方自治体の条例を順守できているか、道路などの社会インフラを作ることによる地域への影響調査を行い、どれだけ予算を割いてどの程度災害リスクに備えるか、といったことを慎重に話し合い決定していく必要があります。
意思決定者は行政であり、建設コンサルタントはあくまで助言をする立場であるため、行政側が庁内で使いやすい資料が求められます。具体的には、行政側の視点だけでなく、市民への説明責任を果たせるような資料を作る必要があります。
このように、関係各所とコミュニケーションをとり、円滑にプロジェクトを進めることが非常に重要な役割となります。
作業の正確性
土木工事では、道路や橋梁といった社会インフラを取り扱う分、より正確性が求められます。これらのインフラは、人々の安全と生活に直接関わるものであり、わずかな誤りが重大な事故や災害を引き起こす可能性があります。
例えば、地盤調査のデータが正確でなければ、構造物の設計に問題が生じ、安全性や耐久性に悪影響を与えることがあります。
また、公共工事の資金は税金から賄われているため、費用の使用詳細を正確に報告することが求められます。税金が適切かつ効率的に使われていることを証明するため、予算管理やコスト報告には特に厳密さが必要です。これは、発注者である公的機関に信頼されるためにも欠かせない要素となります。
土木工事に関する専門知識やCADスキル
建設コンサルタントは土木工事に関する助言をする専門家であるため、もちろん技術的な知識が求められます。基礎となる土木工学の知識に加え、計画に必要な施工管理の知識や経験、工事費用を見積もる積算能力、設計の際に必要なCADスキルなど、技術的な知識を広範囲に持つ必要があります。
実際に建設コンサルタントの募集要項の中に、土木施工管理技士資格やCADスキルが必須項目となっていることも珍しくありません。
柔軟な対応力・実行力
ここまでご説明した通り、建設コンサルタントは企画、調査、設計、施工管理、維持管理といった各工程の技術的な知識を基に、コンサルタントとして資料作成、打ち合わせ、CADの操作など様々な業務をこなす必要があります。
また、土木工事の現場は基本的に屋外であるため、天候や災害などによって状況が変わり、計画の修正を余儀なくされることも珍しくありません。
工事現場への周辺住民からのクレームや、工事現場での事故など様々な不測の事態が起こりうるため、その都度適切な対応が求められます。
このように、建設コンサルタントは様々な業務に柔軟に対処する実行力が求められます。
建設コンサルタントのキャリアアップの流れ
仕事の役割の変化
建設コンサルタントのキャリアパスは、補助担当者、主担当者、技術管理者と役割をステップアップさせていくことが一般的です。
まずは補助担当者として主担当者からの指導やサポートを受けながら業務の一部を担当します。補助業務を担当し、建設コンサルタントとして一人前といえる主担当者を目指します。
主担当者は発注者との窓口となり、自ら主体的に業務を進めていきます。技術管理者のチェックの下、建設コンサルタントの仕事内容である、企画、調査、設計、施工管理、維持管理を一人で担当できる必要があります。これらを一通り経験するには5〜10年ほどキャリアを積む必要があります。
技術管理者は、契約した業務の技術的事項全般に責任を負い、業務の担当だけでなく、工程管理や部下の指導も行います。
技術管理者として様々な経験を積んだのち、プロジェクトマネジメントのリーダーなどのプロジェクトの責任者を担うポジションまで至れば、専門性に加えマネジメントの能力も磨くことができ、さらなるキャリアアップに繋がるでしょう。
資格の取得
技術管理者になるには技術士やRCCMといった受験資格に実務経験が含まれる資格を取得する必要があるため、建設コンサルタントとしてキャリアアップをするうえで資格の取得は重要になります。
技術士やRCCMには4年〜10年の実務経験が必要となるため、まずは実務経験を問われない技術士補を目指すことが一般的です。
技術士、技術士補について詳しく知りたい方は「技術系で最高位の国家資格といわれる「技術士」についてご紹介します」の記事を参考にしてみてください。
転職・独立
また、建設コンサルタントとしての経験を積めば、社内でのキャリアアップだけでなく、他社や公務員への転職や独立も選択肢に入ってきます。
他の建設コンサルタントが最も一般的な転職先ですが、他にもゼネコンや設計事務所、都市計画コンサルタント、再開発コンサルタント、デベロッパーといった様々な業界も候補に入ってきます。
転職の際にも、土木系の資格である技術士やRCCM、その他の専門性の高い資格を保有していれば有利に進めることができるでしょう。
建設コンサルタントのキャリアアップのポイント
様々な工程に関わる
建設コンサルタントとしてキャリアアップを目指す際、様々な工程の経験を積むことが重要です。主担当者はプロジェクトのメインの担当者として発注者とやり取りをし、プロジェクトを進める必要があります。
そのため、主担当者にキャリアアップするためには調査、積算、設計、施工管理といった全ての工程に精通する必要があります。
技術士を取得する
建設コンサルタント企業では、建設部門や上下水道部門の技術士資格を取ることで社内での評価に繋がります。
建設コンサルタント業界には、「建設コンサルタント登録制度」という、国土交通省から建設コンサルタントとしてお墨付きがもらえる制度があります。
その要件を満たすためには社内に技術管理者を置く必要があり、技術管理者になるためには、①技術士であること、②一級建築士であること、③国土交通省の認定を受けたもの
のいずれかの条件を満たす必要があります。
そのため、技術士を雇うことで建設コンサルタントは建設コンサルタント登録制度に登録することに繋がり、他企業からの信頼性の向上や、入札の際の加点に繋がります。
もちろん、技術士の資格を持つことは所属企業だけでなく個人にとっても大きなメリットがあります。
取得することで技術管理者にキャリアアップするための条件を満たすことができますし、転職や独立をするうえでも非常に有利に働きます。
建設コンサルタントに転職するには
常に知識・スキルを習得し続ける意欲
建設コンサルタントは、企画、調査、設計、施工管理、維持管理と土木工事の全工程に関わるため、様々な領域の技術的知識を学ぶ必要があります。
建設コンサルタントに転職するために一定の知識水準が求められるうえ、入社後にも学び続けられることをアピールする必要があるため、常に知識・スキルを習得し続ける意欲を持っていることが重要です。
対応力・実行力をつける
先ほどもご説明したように、建設コンサルタントは資料作成、打ち合わせ、CAD操作、行政とのコミュニケーションなど、様々な業務をこなす力が求められます。
建設コンサルタントとして働くために、現職の業務の中で対応力・実行力を磨くことが重要です。
公共インフラに関わる責任を認識する
道路や橋梁、上下水道といった社会基盤を支えるインフラは、私たちの生活に直接影響を与えるため、その設計・管理には高い精度と信頼性が求められます。
建設コンサルタントとして公共の利益を最優先に考え、法令遵守や環境への配慮も含めた総合的な責任感が不可欠です。
実際の業務の中ではもちろんのこと、建設コンサルタントとして採用されるためにも、責任感をアピールすることは重要になります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
建設コンサルタント業界でのキャリアアップについてご説明しました。
建設コンサルタントは土木工事の全工程に関する知識を得られるうえ、プロジェクトマネジメント、予実管理、CADの操作など様々な知識、経験が得られます。
一通り経験するまでには5~10年をかけて様々な業務をする必要がありますが、幅広く経験する分、一人前になればその後に様々なキャリアを描きやすくなります。
ビルドアップで有利なキャリアアップ・転職を
先述したように、建設コンサルタント業界でキャリアアップをしていくためには、技術士やRCCMといった資格を取得することが非常に有利に働きます。
他業界から建設コンサルタント業界に転職する場合は、ゼネコンやサブコンで土木工事の施工管理を経験していると有利に選考を進めやすいです。
また、建設コンサルタントとして働くうえで重要となるコミュニケーション能力や正確性も選考の際に求められるポイントになります。
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