ゼネコン業界への転職時に重要なポイント!トレンドと将来性を考慮しながら紹介
建設業界は、社会インフラの構築や都市開発など、私たちの生活に密接に関わる重要な役割を果たしています。
その中でも、ゼネラルコントラクター、通称「ゼネコン」は建設プロジェクトの中心的な役割を担い、業界内で重要な位置を占めています。
ゼネコンは建設業界の様々な企業・業種・職種と関わりがあるため、ゼネコン業界について理解を深めることは建設業界における今後のキャリアの展望を広げるカギとなります。
今回はゼネコン業界に焦点を当て、その概要や近年のトレンド、今後の動向、さらには業界でのキャリアパスや転職のポイントまで幅広く解説していきます。
本記事を読んで、ゼネコン業界についての理解を深め、皆さんのキャリアの選択肢を広げるきっかけとしてみてください。
ゼネコン業界の概要
ゼネコンとは
ゼネコンは「ゼネラルコントラクター(General Contractor)」の略で、「総合請負」という意味を持ちます。建設プロジェクトをクライアントから一括請負し、計画から施工・管理、竣工までを一貫して担当する総合建設請負業者のことです。
ゼネコンが担当する建設物はマンションやビルだけでなく、道路や橋、工場そして公共施設など大小様々な建設物のプロジェクトに関わります。
ゼネコンの一番の役割は建設プロジェクトのマネジメントで、実際に建物を建てていくのは、ゼネコンから発注を受けたサブコンと呼ばれる各分野の専門工事業者が担います。
建設プロジェクトに関わるサブコンをマネジメントしながら、納期や予算内に建設物を完成させるのがゼネコンの役割です。
ゼネコン業界の構造
ゼネコンと一括りに言ってもゼネコン業界には様々な規模の企業が存在し、企業の規模によって異なる特徴を持っています。
ゼネコンの中でも売上高が1兆円を越える「大林組」「鹿島建設」「清水建設」「大成建設」「竹中工務店」は「スーパーゼネコン」と呼ばれており、大規模な建設プロジェクト案件を請負い、海外での施工実績も豊富です。
「スーパーゼネコン」より小さい規模のゼネコンは、売り上げや企業規模に応じて「準大手ゼネコン」、「中堅ゼネコン」といった形で分けられ、中堅ゼネコンと呼ばれる企業規模が比較的小さいゼネコンは、地域に根ざした建設会社や特定の建設分野に強みを持った企業が多いという特徴が挙げられます。

他業界との関わり(建設業界における位置付け)
ゼネコンに対して仕事を発注するのは、主に不動産開発系の企業や官公庁が主要です。また、一般民間企業からも施設建設を受注するケースもあります。
不動産開発系の企業からは住宅や商業施設やオフィスビルなどを、官公庁からは道路・橋・学校・公共施設などの公共事業を、一般民間企業からは工場・倉庫・リゾート施設のような様々な建設プロジェクトが発注されます。
そしてゼネコンが仕事を受けた後も、さまざまな関係業界や企業と連携をして仕事を進めます。
設計の段階では設計事務所との連携や、施工段階では、サブコンと呼ばれる各分野の専門工事業者に電気工事や配管工事、設備工事などの専門的な作業を依頼します。
また、一部のゼネコンは、設計と施工両方を一括して受託する設計施工方式にも対応しているケースもあります。
また、建設プロジェクトの内容によって様々な他業界と関わります。たとえば、発電所や送電網の整備ではエネルギー業界との連携が欠かせません。一方で、道路・橋・鉄道・空港などの整備では、インフラ関連企業と協力しながら進める必要があります。
このようにゼネコン業界は建設プロジェクトの中心に位置し、プロジェクトの計画から実際に施工を行い竣工の段階まで様々な業界と連携を取りながら仕事を進めていきます
ゼネコン業界におけるトレンド、トピックス
近年では、働き方改革や技術革新によってゼネコン業界にも変化が訪れています。
その中でも今後ゼネコン業界の成長の鍵を握る4つのトピックスをご紹介します。
労働環境の変化
「建設業界の2024年問題」として注目されてきたこのテーマは、2024年4月に建設業にも時間外労働の上限規制が適用されたことで、大きな転換点を迎えました。
もともと、2018年に公布された働き方改革関連法により、実質的に制限のなかった時間外労働に法的な上限が設けられました。大企業では2019年4月、中小企業では2020年4月から順次施行されています。一方で、建設業など一部の業界については、業務特性を踏まえて5年間の猶予期間が設けられていました。
そして2024年4月、その猶予期間が終了し、建設業界にも時間外労働の上限規制が本格適用されました。
2026年現在は、「2024年問題」への対応段階から、上限規制を前提とした現場運営・人員配置・DX推進をどう実装するかが問われるフェーズに入っています。単なる残業削減ではなく、生産性向上や施工体制の再構築が重要なテーマとなっています。
建設業界では、高齢化や、労働人口の減少に伴う人材不足により、長時間労働が常態化しており、5年間の猶予期間が設けられた理由も上記の問題が短期間での解決が難しい点を考慮してのものでした。
しかし、5年の猶予期間があっても、残業を減らした体制を整えることが難しく、期限を迎えた現在、建設業界の中で問題となっています。
長時間労働が規制されることは労働者にとっては、長時間の労働が法律によって規制されて業界全体が働きやすい環境になるためメリットが多いと言えますが、企業側の視点では一人当たりの労働時間が減りながらも、今までと同じ売り上げや成長率を維持する必要があるため、生産性の向上が不可欠になっています。
建設費の高騰
近年、国際情勢によるサプライチェーンへの影響や、円安といった経済環境、慢性的な人手不足といった業界課題等の様々な要因が重なり、かつてないほどの建設コストの高騰が起こっています。
日本建設連合会のレポートによると、2021年度から2024年度までに、建設コスト全体として約20%程度も上昇が見られました。
建設コストの高騰について、主要な2つの要素について、詳しく紹介します。
①労務コストの上昇
労務コストとは、企業が従業員に支払う給与や社会保険料など労働力を雇用するために発生する費用です。2021年度から2024年度現在までに約16%程度の上昇が見られました。
前項でもお伝えしましたが、建設業界は高齢化と若者離れの傾向により、長年人手不足の状態が続いています。そして今後は、2024年から一人当たりの労働時間も規制されます。
人材を確保するには、これまで以上に賃金を引き上げる必要があります。そのため、労務単価は年々上昇しており、今後も高止まり、あるいはさらに上昇していくと見込まれています。
②資材コスト上昇
資材が高騰している要因としては、世界規模での建設需要の高まりや、ウクライナ問題によるサプライチェーンへの影響、円安によるコストアップの影響など様々な背景があります。
資材ごとに2021年1月と2024年2月を比較すると、それぞれ以下のように上昇しています。
生コンクリート:140%
ステンレス鋼板:162%
板ガラス:174%
鋼板 中厚板:180%
資材の高騰が今後も継続するかについては様々な意見があり、見通しが不確かな国際情勢も踏まえると予測することが難しいといえます。
しかし、企業は、資材高騰が一過性ではない場合に備えて、資材調達先の多様化、国産材の活用などの対応を求められます。
ICT化
上記の人手不足や建設費の高騰の対策として注目されているのが、IT技術の導入によるICT化です。
従来建設業界は書類の作成や現場の仕事などアナログな作業が多い業界でした。ICTを進めることにより、業務の効率化を図り、一人当たりの作業負荷を減らしながら仕事を進めることが期待されています。
ICT技術の導入事例としては、自動整地システムを搭載したミニショベルや建機向け遠隔操作システム、建設ロボットなどがすでに現場で導入されており、従来の工法に比べ半分以下の人手で済んだ事例もあるようです。
現状コスト面で比較すると、人が作業した方が安くなるといった課題もありますが、建設業界が抱える課題を解決するため1つとしてICT化は注目を集めています。
環境への配慮
建設業界は建物やインフラの建設を行う際に、多くのエネルギーと資源を消費し、大量の二酸化炭素が排出されるため、他の産業と比較してもCO2の排出量が多いという特徴があります。
SDGsに代表されるように、近年持続可能な社会の実現や環境保護に対しては関心が高まっており、環境への取り組みは社会貢献性へのアピールにも繋がります。
再生可能エネルギー
環境保護の観点から注目を集めている事業としては、化石燃料を使わず、太陽光や風力、水力を使った「再生可能エネルギー」が挙げられます。
従来からゼネコンは太陽光発電設備や風力発電機の設計や施工、設備を担当するなど再生エネルギーとは関連性の高い業界でした。
さらに近年では、スーパーゼネコンを始めとした企業が太陽光売電事業に取り組んでいる事例もあり、今後はゼネコンにおける新事業領域としても再生可能エネルギーは注目を集めています。
カーボンニュートラル
日本では、2050年度までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の実現を目標としています。そのため、国全体で脱炭素社会の実現に向けた取り組みが、これまで以上に加速しています。
建設業界でのカーボンニュートラルに向けた取り組みの例としては、上記でご紹介した再生可能エネルギーの他に、
- 年間の一次エネルギー消費量がほぼゼロに等しい住宅やビル、商業施設を意味するZEHやZEB
- 国産木材利活用や原材料のコンクリートをグリーン調達に変えるなど、原材料をカーボンニュートラル化にする動き
などが挙げられます。
また建設業界の課題やICT化の部分でお伝えした「生産性の向上」とカーボンニュートラルはセットで取り組む企業もあり、今後も関心が高まっていく分野であると言えます。
宇宙事業
宇宙事業とゼネコンは一見すると関連性が薄いように思えますが、スーパーゼネコンを筆頭に宇宙産業が発展していく未来を見据えて、宇宙開発の研究を進めています。
ゼネコン企業が取り組む宇宙プロジェクトの代表的な例としては、
- 宇宙旅行を見据えた宇宙ホテルの構想
- 宇宙の人工衛星と地上をケーブルで繋ぎ人や物資を運ぶ、宇宙エレベーター建設構想
- 月や火星への居住を想定した宇宙農場システム
などが挙げられます。
もちろん、これらはすぐに実現が可能なプロジェクトではありません。長期的な視点を持って、宇宙開発のために先端技術の研究開発を行うことで、現在の建設事業にも活かすことが期待されています。

ゼネコン業界における職種
ここまではゼネコン業界の概要や近年のトレンドについてご紹介してきましたが、実際にはゼネコンにはどういった業務・職種があるのでしょうか?
今回は特に建築系の知識、スキルが必要とされる職種を3つご紹介します。
設計職
ゼネコン=施工を請け負う会社というイメージが定着していますが、ゼネコンにも設計部門があり、設計と施工を一括で請ける設計施工形式も行っています。
建築物の設計は
- 建築の外観や内部のデザインをつくる「意匠設計」
- 建物や構造物の土台や骨組みなど、耐力系や基礎などの設計を行う「構造設計」
- 電気、給排水、空調、通信などインフラを整備する「設備設計」
の3種類に分けられますが、ゼネコンの設計部門は、特に「構造」や「設備」に強みを持ちます。
また、どう構造体や設備などを配置し、どう建設するかという「構法・工法」にも強みを持つため、施工技術の高さを活かした設計に強みを持ちます。
設計と施工の体制には様々なパターンがありますが、一般的には施主が設計会社と施工会社をそれぞれ選定するパターンや、先述した設計・施工形式パターン、ゼネコンが案件を受注したあと、設計に関しては専門の設計事務所に外注するパターンもあります。
そのため、設計職といっても実際にどこまで設計業務に携われるかは企業によって異なります。
施工管理職
施工管理では、建設プロジェクトにおける施工現場の管理を担当します。
ゼネコンの概要をお伝えした際に、マネジメントという言葉が出てきましたが、施工の現場においてマネジメント(管理)を担当するのが施工管理です。
この施工管理業務の5大要素として、「工程管理」「品質管理」「原価管理」「安全管理」「環境影響管理」があり、この5つに配慮して施工計画をたて、日々の工事進捗を鑑みながら、建築物を完成させるのが施工管理職の仕事です。
研究開発職
ゼネコンの研究開発職は、建設技術や施工方法の革新に取り組み、自社の新たなる技術の開発を行う職種です。
上記でご紹介した、ICT化を進めるための技術や宇宙事業などを各ゼネコン企業が実現、実用化を目指していますが、これらの新技術の開発も研究開発職が担当します。
研究開発職に関しては、すべてのゼネコンに存在するわけではなく、規模の大きいゼネコンなどに限定されます。
ゼネコン業界への転職のポイント
最後に、ゼネコンへの転職を考えている場合、どのような点がポイントになるかについてご紹介します。
ゼネコンへの転職の際に重要になるのが資格と実務経験です。今回は上記でご紹介した各職種への転職の際に求められる経験やスキルや資格についてご紹介します。
設計職
設計職へ転職するうえで、重要になるのが建築士の資格です。その中でも一級建築士の資格は取得の難易度が高いことなどから、資格を取得すると転職時に有利に働きます。
特にゼネコンが請けるプロジェクトは大規模かつ複合用途、多用途に跨るケースが多く、二級建築士のみでは担えないプロジェクトも多いため、一級建築士の知識やスキルは重宝されます。
一級建築士の受験資格は2020年に条件が変更され、キャリアの早い段階で一級建築士の資格を取得できるようになりました。
そのため、設計職への転職を希望される方は、まずは一級建築士の資格取得を目指し、そのうえで転職活動に望むと良いでしょう。
施工管理職
建築施工管理についても、「建築施工管理技士」という資格が存在します。特に、規模の大きい現場を担当したい場合や大手ゼネコンの施工管理職への転職を希望する場合は「施工管理技士1級」の資格は取得必須といえるでしょう。
また、施工管理職への転職においても建築士の資格を取得していると転職活動を有利に進めることができます。
そのため、施工管理職で転職やキャリアアップを考えている方は、まず今の仕事である程度経験を積み、できる範囲を広げたうえで、資格を取得し、経験とスキル両方の武器を持って転職に臨むのが良いでしょう。
研究開発職
研究開発職は募集人数が少なく、研究開発の分野によっても求められるスキルは異なります。
研究開発職への転職についても設計職や施工管理職と同じように一級国家資格(一級建築士、一級建築施工管理技士)の資格が求められます。
そして、資格に加えて研究分野の実務経験も求められる場合があります。
例として、上記で挙げた宇宙開発分野の研究職であれば、建築や土木の業務経験の他に宇宙業務に携わった経験が必要になる場合などです。
そのため、まずはどの分野の研究開発職に就きたいのかを明確にしたうえで、そこで求められるスキルを計画的につけていくことがポイントとなります。
まとめ
今回はゼネコン業界の概要や近年の傾向をご紹介したうえで、各職種ごとの仕事内容や転職の際のポイントをご紹介しました。
ゼネコンへの転職と一概に言っても求められるスキルや業務経験は異なります。
しかし、どの職種に転職を希望する場合でも一級建築士や一級建築施工管理技士の資格は取得しておくと転職を有利に進めることができます。
そのため、上記の資格取得を目指しつつ、転職するにあたって必要となるスキルや経験を埋めて希望の企業、職種に就けるように計画を立てていきましょう!
ビルドアップで有利なキャリアアップ・転職を
先述したように一級建築士や一級建築施工管理技士の資格は、ゼネコン業界はもちろん、さまざまな業界でキャリアアップに繋がる資格です。
また、建設業界における有利なキャリアアップのためには、様々な資格を取得した方が良いケースも多くあります。
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