ハウスメーカーへの転職のポイントを徹底解説!業界・職種、キャリアアップついてご紹介します

ハウスメーカーへの転職のポイントを徹底解説!業界・職種、キャリアアップついてご紹介します

建設業界の中でもゼネコンと同じぐらい代表的な業界として挙げられるのがハウスメーカー(住宅業界)です。

多くの人にとって、人生の最も大きな決断である住宅購入のサポートができるという魅力があるため、建設業界で働いている人の中でもハウスメーカーへの転職に興味のある方も多いと思います。

日本は海外と比較しても新築を信仰する傾向があるため、市場としてもとても大きいことも魅力の一つでしょう。

そんな人気の業界の1つであるハウスメーカーですが、実際に転職をするとなると、業界の将来性や転職にあたってどのような資格や経験が必要になるかを把握しておくことが重要になります。

今回はハウスメーカー業界について、業界の概要から建設業界の中での位置付け、近年のハウスメーカー業界のトレンドを踏まえたうえでの将来性、そして各職種の仕事内容や職種ごとに転職で必要となる経験や資格についてご紹介します。

ハウスメーカーへの転職を考えている方や興味のある方はぜひ参考にしてみてください。

業界概要

ハウスメーカー業界とは

まずは、ハウスメーカー業界についてご説明します。

ハウスメーカーとは、住宅建築に特化した企業で、住宅の設計から施工、販売までを一貫して行うことが特徴です。

ハウスメーカーと同様に住宅を取り扱う業態としては工務店や設計事務所なども挙げられます。

これらとの違いについて、工務店は一般的に地域に密着した小規模な建築業者であり、主に戸建て住宅や小規模ビルなどの建築の委託を受けます。設計を担うケースもありますが、どちらかといえば、施工に特化しています。

一方でハウスメーカーは、多様な住宅のデザインやプランを提示しながら、施工、販売を行い、一貫したサービスを提供しているという違いがあります。ハウスメーカーは宅地分譲という初めに大きな土地を仕入れて、宅地を分割したうえで、戸建て住宅を建てて、建売型で販売することも行っています。

設計事務所は、その名の通り設計に特化した企業であり、住宅の設計は行いますが、施工自体を設計事務所が行うことはなく、施工はゼネコンや工務店に依頼して住宅を建築することが一般的です。

このように、ハウスメーカーが設計から施工、販売までを一貫して行うのに対し、設計事務所や工務店はその一部を担っているとイメージすると分かりやすいでしょう。

建設業界の位置付け

続いては、建設業界におけるハウスメーカーの位置付けについてです。

名前からも分かるように、ハウスメーカーは、建設業界の中で、住宅市場において重要な役割を果たしており、2020年の住宅着工戸数のうち、ハウスメーカーによる着工戸数は全体の約60%を占めるというデータもあります。

また、建設業界を代表するゼネコンとの関係としては、大規模な住宅プロジェクトや開発プロジェクトでは、ハウスメーカーが設計やマーケティングを担当し、ゼネコンが実際の建設作業を引き受けるなど、協力してプロジェクトを行う場合もあります。

近年では、ハウスメーカーがゼネコンを買収したり、資本業務提携を結ぶ動きなどもありハウスメーカーは建設業界においての役割の幅を広げています。

業界のトレンド、将来性

続いては、ハウスメーカーで近年トレンドとなっているトピックスや将来性を予測するうえで重要となる項目をご紹介します。

ハウスメーカーへの転職を考えている方は、業界研究の一貫や企業を選ぶ際の参考としてください。

人手不足

まず挙げられるのが若者を中心とした人手不足です。

こちらはハウスメーカーだけでなく、建設業界全体の課題と言えますが、建設業界は他の業界と比べて労働時間が長い、休暇が少ないというイメージが強く、仕事選びの基準が多様化している現代において、若手の人材が集まりにくくなっています。

労働環境改善のために、2024年の4月からは、建設業界にも時間外労働の上限規制が適用されますが、これは一人当たりの労働時間が制限されることも意味します。

そのため、今後は若手人材を確保するための労働環境を改善、そして環境、待遇を改善しながらも従来と同じような売上や利益率を維持できるための労働生産性や業務効率の向上が各企業の課題となります。

建築費の高騰

続いても、建設業界全体の課題でもある建築費の高騰です。

上記で挙げた人手不足から、建設業界においての1人当たりの労働単価は上昇傾向にありますが、近年の世界情勢を受けて住宅を立てるための原料も上昇を続けています。

住宅を建てる際の主な原料は木材ですが、アメリカや中国で木材需要が増加したことにより、木材の国際市場における供給不足を引き起こし、世界的に木材の価格が高騰しています。

日本は、建築用木材の約70%を輸入に依存しているため、国際的に木材価格が上昇した場合、大きな影響を受けることになります。

また、輸入木材の高騰に対処するために国産材への関心が高まっているが、これが結果的に木材市場全体の価格を押し上げる要因にもなっています。

新築住宅着工件数は減少傾向

では、ハウスメーカーにとって重要な指標である新築住宅着工件数はどのような予測をされているかというと、今後は緩やかに減少していくと考えられています。

具体的な数値としては、新設住宅着工戸数は、2021年度の87万戸から、2030年度には70万戸、2040年度には49万戸と減少していく見込みです。

これは日本の人口が今後も減少し続けていくことが大きな要因です。

都市部のマンション価格が上昇傾向にあるため、戸建住宅を希望するファミリー層が増えているといったデータもありますが、長期的には現在の傾向を維持して減少していく見通しのため、ハウスメーカーは新築住宅以外でのビジネスモデルの確立や、い付加価値をプラスした新築住宅を提供できるかが今後のポイントとなるでしょう。

リフォーム・リノベーションの市場拡大

新築住宅着工件数が減少傾向にある一方で、既存住宅流通量やリフォーム市場規模は、良質な住宅ストックの増加や住宅業界における官民を挙げたストック活用の動きを受け、増加すると予想されています。

また、日本の少子高齢化に伴い、空き家率は増加傾向にあるため、リフォームやリノベーションは今後も伸び代のある分野と言えるでしょう。

海外進出

日本の人口は今後減少していきますが、東南アジアなどでは人口が上昇の一途を辿っており、住宅市場が伸びていくことが予想されています。

そのため新たなビジネスチャンスとして、住宅の需要が伸びている海外へ進出する企業が増えてきているため、海外と日本の住宅の違いや法律の問題などはありますが、海外展開については企業の将来性を検討するうえでの判断材料の1つとなりそうです。

ZEH

SDGsに代表されるように、近年は持続可能な社会の実現や環境保護に対して関心が高まっており、住宅に関しても環境に配慮した住宅がトレンドとなっています。

その中でも近年注目を集めているのがZEHです。

ZEHとはZero Energy House(ゼロエネルギーハウス)の略で、太陽光発電による電力創出・省エネルギー設備の導入・外皮の高断熱利用などにより、生活で消費するエネルギーよりも生み出すエネルギーが上回る住宅を指します。

ZEHについては国も注目しており、2030年までには省エネ基準をZEHに引き上げると発表しています。

その結果、2020年のハウスメーカーが新築する注文戸建住宅においては、約56%がZEHとなっており、今後もZEHの提案をするハウスメーカーや工務店が増えていくと予想されます。

ハウスメーカーの職種

ここからはハウスメーカーの仕事を職種ごとにご紹介します。

ハウスメーカーの職種は企業ごとに異なる場合がありますが、今回は代表的な職種を3つご紹介します。

営業職

ハウスメーカーの営業職は、お客様との信頼関係を築き、共に理想の住まいを実現するパートナーとして、展示場などでの接客から、契約のプロセスや建築中のフォロー、お引渡しまで全てのプロセスでお客様の窓口となります。

その仕事内容は、住まいのご要望に関するヒアリングや、プラン提案、資金計画のアドバイス、そしてお引き渡しまでの細やかなお客様フォローやお引き渡し後のアフターサポートと幅広く、お客様が納得する提案を行うために設計や設備、インテリア、など住宅に関連する様々な専⾨知識も必要です。

また、これらの仕事を行う中で設計職や施工管理職との連携も⽋かすことができず、ハウスメーカーの中で中心的役割を担います。

設計職

設計職はその名の通り住宅の設計を手掛ける職種です。

設計は「基本設計」と「実施設計」の2つの段階に分けられます。

基本設計は、建物のコンセプトや全体的な設計の方向づけを確立する段階で、予算やスケジュール、施工方法や構造、材料などの性能要件についても検討され、設計が進められます。

一方で実施設計は、基本設計で決定された設計方針を具体化し、建物の詳細な設計を行う段階です。

具体的な部材や仕上げ材料、設備機器の仕様などが決定され、図面や詳細な仕様書が作成されます。

また、設計は大きく分けると、意匠設計、構造設計、設備設計の3種類に分けることができ、規模の大きな建築物では、各設計パートにおいて担当者は分かれるケースが多いですが、住宅設計では基本的には一人の担当者が全てのパート設計を行うため、総合的な設計力が求められます。

設計職は、設計の技術力だけでなく、お客様の要望やニーズを理解し、それを具体的な住宅プランに落とし込むことが求められるため、コミュニケーションも必要とされ、企業によっては営業設計職という上記で紹介した営業と設計を兼任する職種も存在し、幅広く仕事を行う場合もあります。

そして、設計に関する専門知識を活かし、営業へのアドバイスや、施工管理職と施工時の情報を共有するなど、家づくりの工程で他の職種と連携する機会が多くあります。

施工管理職

施工管理職は設計担当が描いたプランの意図とお客様の要望を汲みとり、図面をかたちにしていきます。まずは施工計画を立て、お客様への工程説明や、建築資材の手配などの着工準備を行います。

そして実際に着工した後は、工程表の作成や進捗管理、施工品質の監査や改善、安全対策の実施や管理など、お引き渡しに向けて工事を円滑に進めていくことが求められます。

施工管理職は施工期間中に、現場に関わる、お客様や協力業者や職人、他の部署など多くの方をまとめ、安全かつ効率よく工事を進める必要があるため、多方面にわたるコミュニケーション力やマネジメント力が求められます。

ハウスメーカーへの転職のポイント

最後に上記で紹介した3つの職種へ転職する際に求められることをご紹介します。

ハウスメーカーに限らず、転職の際には経験とスキルが求められます。

建設業界では、特に資格が重要視されるため、各職種ごとにどのような資格が求められるかぜひ参考にしてみてください。

営業職

営業職は住宅に関する知識はもちろん、契約に関するお金の知識や空間デザインやインテリアに関する知識が求められるため、これらに関連した資格を保有していると転職を有利に進めることができます。

具体的な資格としては、宅地建物取引士(宅建士)や建築士、お金にまつわる住宅ローンアドバイザーやファイナンシャルプランナー、空間デザインに関連するインテリアコーディネーターなどが該当します。

特に宅建士の資格については、求めている企業も多いため転職を考えている方はぜひ取得するようにしましょう。

また経験の面では、必ずしも営業に関する経験が必須とされるわけではないようですが、ハウスメーカーや建設業界問わずの営業経験や、住宅の設計経験などがあると転職を有利に進められるケースが多いようです。

設計職

設計職では建築士の資格が重要になります。

転職の段階で二級建築士の資格は必須としている企業や、入社後に一級建築士の資格を必ず取ることが求められる企業もあるため、転職の段階で最低でも二級建築士の資格は取得しておきましょう。

また、一級建築士の資格も入社後に必要になるケースが多いため、一級建築士の資格を取得すると転職を有利に進めることができます。

経験の面では建築業界での設計経験は歓迎項目としている企業が多いです。

施工管理職

施工管理職への転職では建築士と施工管理技士の資格が求められる場合が多く、企業によっては必須の場合もあるため、転職を施工管理職への転職を検討している方は、早めに資格を取得するようにしましょう。

また、企業によっては普通自動車免許を必須条件としてる場合もあるため、選択肢を広げるためにも自動車免許をお持ちでない方は転職活動時までに取得するようにしましょう。

また、経験としては規模や物件の種類などは問われることは少ないですが、施工監理技術者業務の経験や、建築業界での設計や施工管理経験があると転職時に有利に働くようです。

まとめ

今回はハウスメーカーのトレンドや業界の将来性をご紹介したうえで、各職種ごとの仕事内容や転職の際に重要となる資格や経験についてご紹介しました。

ハウスメーカーといっても職種ごとに求められるスキルや経験は異なりますが、一級建築士やコミュニケーションスキルはどの職種でも共通して求められる場合が多いです。

そのため、ハウスメーカーへの転職を考えている際は転職時に上記の2点を転職時にしっかりとアピールできるように準備をしていきましょう。

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先述したように一級建築士や一級建築施工管理技士の資格は、ハウスメーカーはもちろん、さまざまな業界でキャリアアップに繋がる資格です。

また、建設業界における有利なキャリアアップのためには、様々な資格を取得した方が良いケースも多くあります。

ビルドアップでは、資格の活かし方や、建設業界のあらゆる職種についてどのように転職した方が良いかといった専門性を有した、建設業界に特化したエージェントが多数在籍しております。

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