建設・不動産業界でキャリアの幅が広がる資格である 「宅建士」をご紹介します
建設業界でのキャリアを築くうえで資格取得は欠かせない要素の1つです。
建設業界にまつわる資格は多く存在しますが、今回ご紹介する宅建の資格は、国家資格であり、毎年多くの方が受験されるので、興味のある方も多いかと思います。
今回の記事では、宅建の資格概要から取得までの流れ、その意義、そして資格が活かせる業界について詳しく解説します。
建設業界でのキャリアを考える上で、資格の概要や資格を取得することで、どのように役立つかを知ることは重要になります。
宅建に興味のある方は、この記事を参考に、宅建資格の重要性と取得に向けた第一歩を踏み出すきっかけにしてください。
宅建の資格について
まずは宅建の資格概要からお伝えします。
宅建の正式名称は「宅地建物取引士」といい、不動産取引を安全かつ公正に進めるために必要な専門知識と技能を証明する国家資格です。
この資格を持つ専門家を宅建士と呼び、彼らは不動産取引のプロセス全般にわたり、法律に基づいた適切なアドバイスやサポートを提供することができます。
宅建の資格は、不動産業界での取引に際して法律で必須とされており、不動産会社で働くうえで重要な役割を担っています。
不動産取引は数千万円〜数億を超えるような高額な取引となるため、宅建士は、お客様が不動産取引を安心して行えるよう、重要事項の説明や契約書の記名・押印など、公正な取引を支える業務を担い、これらは宅建士にだけ許される独占業務です。
特に、専門知識が乏しいお客様が不利益を被らないよう適切な情報提供と説明が求められることが多く、宅建士の存在は不動産会社にとって不可欠と言えます。
資格取得でできること
では、宅建の資格を取得するとどのようなことができるようになるのでしょうか?
ここでは、宅建の資格を取得することでできるようになることをより具体的に説明します。
重要事項の説明
まず第一に、宅建士は不動産取引において重要事項の説明を行う独占業務を担います。
不動産を購入しようとする人や借りようとする人に対し、物件の所有者、広さ、登記状況、手付金やキャンセル時の取り決めなど、取引条件に関する重要な情報を契約前に説明する必要があります。
これは「重要事項の説明」と呼ばれ、不動産取引のトラブルを防ぐために宅建士が行う重要な業務です。
説明事項は重要事項説明書に記載され、この書面は取引の安全を守るために不可欠です。
35条書面(重要事項書面)への記名
次に、宅建士は35条書面(重要事項説明書)への記名を行うことができます。
重要事項の説明は広範囲にわたるため、口頭だけでは理解しづらい部分があります。
説明内容を書面に記載し、交付することで、その内容に責任を持つことを示します。
この書面への記名は、宅建士にしか許されない業務であり、重要事項の説明が適切に行われた証明となります。
37条書面への記名
最後に、宅建士は37条書面への記名も独占的に行うことができます。
不動産取引が成立した際に作成される契約書には、取引の重要な部分が記載されており、この契約書への記名は、取引が適切に行われたことを証明するために必要です。
契約書の内容を確認し、問題なく取引を進めるためには、宅建士の専門知識が不可欠です。
資格取得の意義
上記の内容は文字通り、宅建の資格を取得しないとできない独占業務となっており、不動産の売買や賃貸借の仲介といった取引を行ううえで欠かすことのできない業務です。
さらに、不動産取引を行う事業所では、従業員5名につき少なくとも1名の宅建士を配置することが法律で義務付けられているため、不動産業を営む企業からの宅建士の需要は高く、宅建の試験を取得することには大きな意義があります。
宅建の資格を取得するまでの流れ
続いては、宅建の試験について、その概要から受験資格や難易度、さらに資格取得後の流れについてご紹介します。
試験概要
宅建試験では、不動産取引に関連する法律や税制、宅建取引士としての免許や報酬に関する情報、そしてその年ごとの不動産市場の動向や統計資料に至るまで、幅広い範囲の知識が求められます。
試験は毎年実施されますが、受験資格に制限がないため、不動産業界でのキャリアを目指す人から一般の興味がある人まで、どなたでも受験することが可能です。
問題形式は選択式で、実務に即したケーススタディが多く含まれており、実際の不動産取引に関する深い理解が求められます。
試験の難易度
続いては、宅建試験の難易度についてです。
宅建試験は、全体で50問の選択式問題が出題され、試験の合格ラインは年度によって異なりますが、大体の目安としては、約35問程度正解する必要があるとされています。
合格率は例年15〜17%台で、この数字は建設業界関連の資格試験と比較しても低い部類に入るため、合格するためにはしっかり対策をしたうえで受験する必要があります。
資格取得後の流れ
宅建の試験に合格した後、宅建士(宅地建物取引士)として実際に働き始めるためにはいくつかの手続きが必要です。
まず、試験合格の通知を受け取った後、宅建士として正式に登録し、宅地建物取引士証(宅建士証)を交付してもらう必要があります。
また、宅建士の登録には、宅地建物取引の実務経験が2年以上必要とされます。
しかし、この経験が2年に満たない場合でも、宅建士の登録実務講習を受講することで、宅建士の登録が可能です。
宅建の資格を活かせる業界、職種
最後に宅建の資格を活かせる業界をご紹介します。
宅建の資格は幅広い業界で活かすことができますが、今回は特に宅建の資格と関連が深く、キャリアアップに繋げやすい業界と、それぞれの業界でどのような職種が宅建の資格を活かせるかについてもご紹介します。
不動産業界
不動産業界では、宅建の資格はキャリアアップに直結します。
すでに説明した通り、不動産の売買や賃貸借の仲介を行う際に、法律で従業員5名につき1名以上の宅建士の設置が義務付けられており、宅建資格保有者が欠かせない存在です。
これにより宅建の資格を保有していると、不動産会社において重要な役割を担うことになり、土地や建物の売買契約、賃貸物件の仲介など、不動産取引全般にわたってその専門知識を活かすことができます。
不動産業界の中で宅建の資格を活かすことができる職種はこちらです。
不動産仲介:宅建資格を持つことで、法律に基づく重要事項の説明や契約書の作成が可能になります。
これにより、顧客への信頼性を高め、取引の安全と公正を守ることができます。
不動産管理:宅建資格によって身につけた法律知識を活用し、賃貸契約の適切な管理やトラブル対応を行います。
また、物件の適正な評価や広告の法規制にも対応できます。
不動産コンサルタント:投資に関わる法律や税制、市場動向の専門知識を活かして、顧客に対して最適な不動産投資のアドバイスを提供します。
建設業界における宅建士の需要
建設業界においても、宅建士の資格は重要です。
特に、自社で建築した物件を販売する過程で、宅地建物取引士の役割が不可欠なため、このようなビジネスを展開する建設会社において宅建士の需要は高まっています。
また、宅建士と建築士の両方の資格を保有していると、土地の選定から建物の設計、契約に関する手続きまで一貫して担当することが可能となり、建設プロジェクトの上流から下流まで、業務の幅が大きく広がります。
建設業界の中で特に宅建の資格を活かすことができる職種はこちらです。
デベロッパー:宅建資格を活かして、土地の取得から計画、開発、販売に至るまでの各ステージで法律的な問題をクリアにしながらプロジェクトを進行させます。
都市開発コンサルタント:都市再開発などのコンサルタントにおいては、土地・建物の権利を持つ人に対して、再開発上の資産の取り扱いに関する助言をする際に、不動産・宅建の観点から助言を行うことができます。
金融業界における宅建士の需要
金融業界でも、不動産を担保とした融資を行う際に、宅建の専門知識が必要とされます。
信託銀行や保険会社、証券会社などでは、不動産の価値を正確に評価し、適切な融資決定を行うために宅建の知識が活かされます。
また、多くの都市銀行が不動産販売会社をグループに持っていることもあり、宅建の資格を保有することで仕事の幅が広がります。
金融業界では以下の職種が宅建の資格を活かすことができます。
信託銀行営業担当:信託銀行は、銀行業務に加え、顧客の資産・財産の信託業務を担います。例えば、所有する不動産を売却して資産整理したい場合には、不動産仲介的な機能を担うなど、信託銀行では不動産を取り扱うケースが多いため、宅建を取得するメリットが大きい業界です。
不動産融資担当者:銀行は銀行法で不動産業が規制されていますが、住宅ローンなどの融資審査時に、宅建で得られる不動産にまつわる知識や法律知識を活用し、適切な融資判断を下します。
また、担保となる不動産の価値を正確に把握することが可能になります。
リスク管理:銀行などの金融業界では、健全な業務体制を維持するためのリスク管理部門が存在します。
リスク管理には、担保不動産に関する不動産評価も仕事に含まれているため、不動産投資のリスク評価において、宅建資格で得た市場動向や法規制の知識を基に、リスクを分析し、対策を講じることができます。
その他の業界における宅建士の需要
一般企業の資産管理部門プロジェクトマネージャー:建設業界ではなくても自社不動産の運用や売買において建設プロジェクトにおいて、宅建資格の知識を用いて、契約関連の業務や土地利用の法規制を理解し、正しい判断ができるようになります。プロジェクトのリスク管理に役立ちます。
まとめ
今回は宅建の資格について、資格や試験の概要、さらに宅建の資格が活かせる業界をご紹介しました。
今回ご紹介したように宅建の資格は不動産業界はもちろん、それ以外の業界でも資格を持っていることでキャリアアップや仕事の幅を広げることが可能です。
また、受験資格に制限がないため、誰でも受けることができます。
宅建の合格率は高くはないため、気になっている方がいたら計画的に準備を進め、試験を受けてみましょう。
今回ご紹介したように資格を保有することで、専門知識と技能の証明が可能となり、信頼性や専門性をアピールできるため、キャリアアップにおいて重要な役割を果たします。
そのため、自分のキャリアプランを考えたときに、その目標を達成するために必要な資格や重要となる資格があれば、積極的に受けるようにしましょう!
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