2030年に向けた建設業界とインフラの行方

2030年に向けた建設業界とインフラの行方

いま直面している社会インフラの課題

日本の社会インフラは、高度経済成長期(1960〜70年代)に集中的に整備されました。その結果、道路、橋、上下水道などの多くが建設から50年以上経過し、老朽化が深刻化しています。

出典:社会資本の老朽化対策情報ポータルサイトhttps://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/maintenance/02research/02_01.html

国土交通省の調査では、2030年までに全国の道路橋の約54%、トンネルの約35%が建設から50年以上経過すると予測されています。こうした施設は安全に使い続けるための修繕や更新が欠かせません。

特に地方では、老朽化した橋やトンネルで通行制限が行われ、物流や日常生活に直接的な影響を与えています。同時に、日本は人口減少社会に突入しており、利用されなくなった施設や道路も増えています。都市部と地方ではインフラの役割が大きく異なるため、地域に応じた柔軟な管理や維持が必要とされています。

政策の変化:「量」から「質」へ

これまでの国のインフラ整備は「全国に均等に、たくさん造る」ことが基本方針でした。しかし、現在は**「必要な場所に必要な規模で、長く使えるよう整備する」**方向へと大きく転換しています。この方針は、建設業界における仕事の内容や進め方に直接影響を及ぼしています。

国土交通省は今後のインフラ政策の柱として以下の4つを挙げています。

老朽化インフラの修繕・更新

最優先されるのは、既存の道路や橋、トンネルなどの修繕と更新です。壊れてから直すのではなく、予防的に手を打つ「予防保全」が重視されています。

防災・減災インフラの強化

日本は災害が多い国であり、豪雨や地震に備えたインフラ整備が急務です。堤防や避難所などを強化し、災害時の被害を最小限に抑えることが目標です。

地方と都市の格差是正

人口減少が進む地方では、すべてのインフラを維持するのは困難です。地域ごとのニーズに合わせ、必要な施設を絞り込んで整備することで効率性を高めます。

脱炭素社会へのシフト

再生可能エネルギーや省エネ技術を取り入れたエネルギーインフラへの転換も進んでいます。これにより、環境負荷を軽減しながら持続可能な社会を実現することが狙いです。

インフラを残すかどうかの判断基準

使用頻度や需要

インフラの更新や維持の優先順位は、実際の利用状況に大きく左右されます。例えば交通量が極端に少ない道路や橋は維持の必要性を再評価されることがあり、場合によっては簡易構造への変更や撤去も検討されます。利用され続けるインフラかどうかを見極めることが重要です。

効率性の観点

稼働率の低い公共施設や使用頻度の少ない建築物をそのまま維持するのは非効率です。そのため、他施設との統合や別用途への転換といった選択肢が検討されます。これにより、維持コストを削減しながら地域全体の利便性を高めることができます。

長期的コスト(ライフサイクルコスト)

インフラは一度造れば終わりではなく、数十年にわたる維持費用が発生します。そのため、短期的な建設費用だけでなく、ライフサイクル全体でのコスト評価が行われます。将来的に高額な維持費がかかる場合、更新の優先度が下げられる可能性もあります。

地域特性とニーズ

人口減少や高齢化が進む地域では、インフラの必要性が大きく変化しています。地域ごとに重要性の高いインフラを厳選し、不要な維持を削減することが求められます。地域の実情に即した判断こそが持続可能な運営につながります。

建設業界の企業が進める新しい取り組み

政策の変化に呼応して、企業の活動も変化しています。

デジタル技術の活用

ICTやAIを用いた効率化が進み、現場の進行管理を3Dモデルで行う「CIM/BIM」や、ドローンによる測量が一般化しています。AIを活用した点検データの分析により、少人数でも高精度な作業が可能になり、若手技術者にとっても働きやすい環境が広がっています。

修繕・維持管理ビジネスの拡大

かつては新築工事中心だった企業も、今では修繕や維持管理部門を拡充しています。橋梁の劣化診断や下水道の補修設計といったサービスは今後さらに成長が期待されています。

地方企業同士の連携

人口減少地域では、地元企業が協力して発注をまとめたり、機材を共有するなど、効率化を進めています。これにより、限られた人材や資源を有効に活用しています。

環境対応型の建設手法

CO₂排出削減を目指した再生コンクリートや木質構造の利用が広がっています。公共事業では環境に配慮した提案が評価されやすく、企業の競争力向上にもつながっています。

建設業界でキャリアを積む方が押さえておくべき視点

キャリアの選択肢が広がっている

これまで建設業界といえば施工管理や設計が中心でしたが、現在は維持管理、インフラ点検、補修設計、さらにはデータ分析や運営計画といった領域まで仕事が広がっています。新しい分野への関心を持つことが、キャリアの幅を広げる大きなポイントです。

ICTや環境分野の知識

今の建設業界では、ICTを活用した業務効率化や、環境配慮型の施工手法への理解が欠かせません。これらは一朝一夕で身につくものではありませんが、興味を持ち、基礎を学んでおくことで就業後に大きな強みとなります。企業もこうしたスキルを持つ人材を高く評価しています。

企業研究の重要性

どの企業がどの分野に力を入れているのか、また国の政策とどのようにリンクしているのかを理解することは、就職活動や転職活動において極めて重要です。公共投資の方向性を見極めて志望動機に落とし込むことで、説得力のあるキャリア選択につながります。

まとめ

2030年に向け、建設業界は「作る」から「守る・育てる」時代へと大きく変わりつつあります。社会インフラを長期的に維持し、人々の生活を支え続けることが新しい使命です。これから建設業界でキャリアを積む方にとっては、自分のスキルをどう活かし、進化する社会にどう貢献できるかを考えることが重要になります。

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