【2025年最新】半導体工場の建設ラッシュはなぜ起こっている?建設業界との関係とは?

【2025年最新】半導体工場の建設ラッシュはなぜ起こっている?建設業界との関係とは?

近年、国内の建設業界で注目されているのが「半導体工場」の建設です。ITや電気自動車(EV)、医療機器など、さまざまな分野で必要とされる半導体の生産体制を強化するため、日本各地で工場の新設が進められています。

こうした工場建設には、ゼネコンをはじめとする建設業界の企業が多く関わっています。

この記事では、半導体工場の建設が注目されている背景や、その特徴、ゼネコンがどのような役割を担っているのかについて解説します。

半導体とは

半導体は、コンピュータやスマートフォンの頭脳となるCPU・AI技術・電気自動車の制御系、さらには医療用診断装置・産業用ロボット・データセンターのインフラなど、あらゆる現代技術の中核を担う存在です

高度化・多様化が進む中、企業ごとに独自の半導体を開発・生産する動きが活発になっており、それに伴い製造拠点の新設ニーズも高まっています。

日本で半導体工場の建設が増えている

近年、日本国内での半導体工場の建設が急増しています。2025年4月現在、建設予定も含めると15拠点の半導体工場が整備される予定であり、これは世界シェアの約9%に相当します

​特に、台湾のTSMCや米国のマイクロンなどのグローバル企業が、日本企業であるソニーやトヨタ自動車との共同出資を通じて、九州や北海道を中心に大規模な建設プロジェクトを進めています。

国内で半導体工場建設が増えている理由

自動車・医療など日本の基幹産業との親和性

EVや自動運転など、先端技術を支える半導体の安定供給は国内製造業にとって不可欠です。

日本の得意とする分野である自動車、医療機器産業は、今後も高性能な半導体への依存度が高く、それが国内生産体制の強化を後押ししています。

製造装置メーカーの集積

日本国内には、半導体製造に不可欠な露光装置、成膜装置、洗浄装置などを製造する世界的な企業が多く存在しています。

こうした装置メーカーと近接する立地に生産工場を建設することで、技術的な連携や保守の効率化が期待できます。

政府の産業戦略と支援策

日本政府は、半導体産業の強化を国家の重要課題と位置付け、積極的な支援策を講じています。

​2024年には、半導体および人工知能(AI)産業を支援するため、10兆円規模の補助金や税制優遇措置を含む計画を発表しました。​
この支援は、北海道でのRapidusによる次世代半導体工場の建設など、国内外の企業による新工場の建設を後押ししています。​

また、TSMCが熊本県に建設した工場には、4,760億円の補助金が提供され、計画通りの完成と量産開始が実現しました。​
これらの支援策により、日本国内での半導体工場建設が加速しています。

半導体工場の建設は誰が行なっている?

多くの半導体工場は総合建設業者(ゼネコン)が関わっています。

半導体工場の建設は、従来の工場の建設とは異なる高度な技術と精密な施工が求められます。そのため、ビル・商業施設・マンション・橋梁・トンネルなど、様々な建設プロジェクトに関わってるゼネコンの専門性と総合力が活かされる分野といえるでしょう。​

国内での半導体工場建設の増加に伴い、ゼネコン業界にとって新たな市場拡大の機会が生まれています。​

半導体工場の特徴

半導体工場では、単なる鉄骨造の工場とは異なる高い施工精度が求められます。

クリーンルームの存在

半導体工場における最も重要な設備のひとつがクリーンルームです

半導体部品の製造では、ナノレベルの微細加工を行うため、空気中の微粒子や静電気が製品不良の原因になります。
そのため、手術室のような清浄度の高い空間が求められます。
天井裏や壁の隙間、ネジ穴などの微細なすき間も全て塞がれ、埃の侵入を完全に防止します。

さらに、床には静電気を発生させないための帯電防止処理が施され、長尺シートや塗り床による3層仕上げが採用されることが多いです。
こうした施工には高度な技術と多くの工程が必要となるため、工期が長期化する要因にもなります。

複雑な設備工事

半導体工場の施工で最も重要かつ難易度が高いのが設備工事です。

空調・給排気・電源・熱源・通信インフラなどを整えるため、建物本体と同規模の工事が必要となる場合もあります。
特に、窓の少ない設計が主流であるため、工事中の換気が困難で、防水や塗装など換気が必要な作業が難しくなります。

また、工場の屋上や周囲の敷地にも大量の機械設備が設置されるため、躯体や内装工事の完了後にも外部設備の工事が続きます
これらの設備工事はサブコンが担当することが多く、ゼネコンとの緻密な工程調整と管理が求められるため、施工マネジメント力が重要になります。

高い安全性が求められる

半導体の安定供給を実現するために、自然災害への備えが不可欠です。

多くの工場では地震対策として免震構造が採用され、建物の下に設置された免震装置によって揺れを吸収します。
さらに、沿岸部や河川近くに建設されるケースでは、津波・液状化対策として地盤改良や大規模な盛土工事が実施されます。

半導体工場建設の今後の見通し

半導体工場の建設需要は、今後も継続して高まると見込まれています。世界的な半導体不足やAI技術の発展を背景に、各国が供給体制の強化を急ぐ中、日本でも政府の支援策や民間企業による巨額投資により、2030年頃までは新設・増設プロジェクトが相次ぐと予想されます。

既存の工場建設で培われた技術を活かしつつ、半導体工場に特化した施工ノウハウが蓄積されていくことで、工期の短縮や品質向上も進むでしょう。
ゼネコン各社は、新たな製品開発のスピードに対応するため、より深く半導体業界と関わりながら建設技術を進化させていくことが求められます

この過程で、受注拡大に伴う利益向上が期待され、大手のみならず中小ゼネコンにとっても技術革新の好機となります

また、地方では少子高齢化により従来の商業施設開発が縮小する一方で、半導体工場の建設が地域経済を活性化させる起爆剤になる可能性があります。関連施設や住宅、インフラの整備も含め、まちづくり全体が連動することで、建設業界全体に波及効果が生まれるでしょう

さらに、一つの工場建設が次の案件の受注につながる“建設の連鎖”が発生することで、ゼネコン各社の成長サイクルが加速し、AIやDXの導入といった業界全体の技術革新にもつながっていくと考えられます。

まとめ

半導体工場の建設ラッシュが続く背景には、製造業の競争力強化やAI・EVなどの産業成長があり、今後も需要の拡大が見込まれます。

こうした工場の建設では、建築・設備の高度な技術が求められ、ゼネコンの知識や経験が大きな力となります。さらに地方での工場建設は、地域活性化やまちづくりにもつながり、建設業界にとって新たなビジネスチャンスとなっています。

今後は、半導体工場の建設需要が引き続き高まり、ゼネコン各社が技術力や施工体制の強化を進めると予想されます。

ビルドアップで有利なキャリアアップ・転職を

ビルドアップでは、建築土木業界内でのキャリアアップ・転職や、業界外から建築土木業界への転職などに詳しい、建築土木業界に特化したエージェントが多数在籍しております。

建築土木業界でのキャリアアップ・転職を少しでも有利に進めたい方は、こちらからご登録ください。